みなし相続、遺贈財産となる退職手当金等
(1)みなし相続、遺贈財産となる退職手当金等
退職手当金等とは、退職金、功労金その他これらに準ずる給与をいう
①死亡退職の場合
支給金額が、死亡後3年以内に確定したもの(給付は3年以内でなくても良い)
②生前退職の場合
支給金額が死亡時に未確定で、死亡後3年以内に確定したもの
(2)退職手当金等の非課税額
500万円×法定相続人の数
*法定相続人の数の計算に置いては養子の数の算入に制限がある
計算等
1 一般の弔慰金の計算
(1)退職手当金に該当する弔慰金等
①弔慰金のうち実質的に退職金等に該当するもの
②それ以外の取扱い
ア 死亡の原因が業務上の死亡の場合
死亡当時の賞与以外の普通給与の3年分を超える部分に該当する金額
イ 死亡の原因が業務上の死亡ではない場合
死亡当時の賞与以外の普通給与の半年分を超える部分に該当する金額
(2)事例
Y社勤務の甲が顧問を務めるX社の業務上に死亡した場合
X社から弔慰金は2000万円であった
X社からの普通給与が月額60万円であったとする
60万円×36ヶ月(3年)=2千160万円≧2000万円
したがって超過する部分がないため、X社からの弔慰金は退職手当金等は0円となる
Y社からの弔慰金が900万円であった
Y社からの普通給与が月額40万円であったとする
900万円-40万円×6ヶ月=660万円
660万円が退職手当等に該当する
2 雇用主が保険料を負担している生命保険の扱い
保険事故が発生した場合
①退職手当金支給目的
退職手当金等に該当する
②それ以外
生命保険金等に該当する
保険事故が発生しない場合
退職手当金等に該当する
3 法律等に基づく弔慰金等の計算
(1)法律等に基づく弔慰金等のみを取得した場合
労働者災害補償保険法や船員法の規定など法律に基づいて弔慰金が支払われた場合には、適正な弔慰金の額として非課税である。
(2)法律等に基づく弔慰金と一般の弔慰金の両方を取得した場合
①普通給与の3年分又は半年分より法律等に基づく弔慰金が少ない場合
課税額=一般の弔慰金-3年または半年分の給与-法律等に基づく弔慰金
②普通給与の3年分又は半年分より法律等に基づく弔慰金が多い場合
課税額=一般の弔慰金額全額
退職手当金の取得者と取得額
(1)退職給与規定等により受給者が定められている時
その規定により所得者が決まる
(2)退職給与規定等により受給者が定められていない時
①相続税の申告書の提出時までに現実に取得した者がある時
その取得した者
②相続人全員で受給者を決めた時
その定められた者
③それ以外
相続人全員が各人均等に取得したものとする(相続分の計算とは異なる)