不動産売買の立会

立会い全体の流れ

立会いの依頼➙情報収集(FAX等)➙各当事者と打合せ➙見積り・必要書類のFAX➙書類作成・書類の収集(原本)

 

➙立会い➙登記申請➙登記完了

立会の依頼

不動産仲介業者や金融機関からの連絡により始まることも、買主や売主から直接依頼を受ける場合もある。

まずは、立会いの日時、場所を確認し、スケジュールを確保する。

必要情報の収集(FAX等)

・売主、買主、融資の有無、各当事者の連絡先など具体的な概要を聴き取る。

・その前提として、売買契約書、登記事項証明書、固定資産評価証明書はFAXで送ってもらう(最低限の情報)。

・できれば、売主の印鑑証明書、権利証、買主の住民票のコピーなどもあれば受け取る。(事前に準備ができる)

 

主なチェック点

【売買契約書】

・買主・売主の住所・氏名、押印の確認

・対象不動産の確認(物件漏れがまれにあるので、権利証等の不動産の表示をチェックする)

・売買契約条項の確認(特約事項)

 

【登記事項証明書】

・最新の登記事項証明書を確認する(共同担保目録も付ける)

・売主の住所が変更していないか。

・分筆・合筆されていないか。

・地目が田、畑ではないか、(農地法の許可の要否)

 

【固定資産評価証明書】

・本年度のものか

・登記簿と評価証明書との面積は一致しているか。(評価証明書の面積が登記簿の面積より小さい場合法務局に相談など)

 

各関係者との打合せ

買主側仲介業者との打合せ事項

(1)立会い当日に買主本人が出席するか

・出席する場合は、必要書類への署名・捺印や、本人確認・意思確認も立会い当日に行う。

・出席しない場合、事前に会いに行くなどして、本人確認・意思確認をし、必要書類(委任状含む)に署名・捺印もらう。

・当事者が法人で代表取締役の出席ができない場合、登記事項証明書のコピーをもらい、必要書類(登記原因証明情報・委任状・業務権限証明書等)本店(または支店)へ郵送(転送不要の書留郵便)し、捺印の上、当日業務権限を有するものに持参してもらう。

代表者から業務権限を有するものに業務権限証明書(印鑑証明書付き)を発行してもらい、当日業務権限者の本人確認をする。

 

(2)新所在地(購入物件)に住所を移転するのか

住民票を新住所に移転済の場合、立会日までにその住民票を準備してもらう。

 

(3)住宅用家屋証明を取得するのか

・住宅用家屋証明をこちらが取得するために、登記簿謄本・売買契約書・移転後住民票・資格証明書・身分証明書等をFAXで依頼

(4)買主の持分

・買主が複数いる場合は、各買主の持分を確認する・

 

(5)自己資金か融資を受けるのか

・金融機関から融資を受ける場合、担保設定する金融機関の連絡先、担当者を確認し、借入額も確認する。

 

売主側仲介業者との打合せ事項

(1)立会当日に売主本人が出席するか

・買主のときよりも入念な本人確認等が必要。

 

(2)売主に住所変更があるか

・登記簿上の住所と現在の住所とをつなげる住民票や戸籍の附票を取得依頼。

 

(3)登記済証や登記識別情報がない場合、本人確認情報を作成する。

(4)抹消金融機関の担当者および連絡先の確認

抹消金融機関との打合せ事項

(1)担当者は立会当日出席するか

・出席しない場合、金融機関に出向くあるいはFAX・電話で抹消書類を確認する。

・当日、抹消書類を確認し、立会終了後売主とともに抹消書類の受領に行く旨を当事者に説明し、取引の実行してもらう。

・司法書士のみが抹消書類を受領に行く場合は、売主からの委任状(印鑑証明書付き)をもらう。

 

(2)抹消書類のFAXは可能か

・FAXができない場合、出向いて確認するか、口頭で読み合わせてもらうなどして確認する。

 

(3)全部抹消か、一部抹消か

・共同担保目録の一部の抹消か、全部抹消かを確認する。

 

(4)差押え、仮差押え登記がある場合

・立会時に債権者から取下げ書を受領し、立会終了後すぐに裁判所に提出する。

・取下げ書には差押申立書の印鑑と同一のものが押印必要なため、事前に取下げ書のFAXをもらって裁判所に確認する。

・確認できない場合などは、実印を押印し印鑑証明書をつけてもらう。

設定金融機関に聞くべきこと(融資を受ける場合)

(1)担保権の内容

・抵当権・根抵当権の別、設定金額、利息、損害金等を確認。

 

(2)担保対象物件の確認

・売買物件のみか、他に担保があるのか確認。

 

(3)設定書類の受取日

・立会い前日までに受領できる事が多く、確認しておく。

見積り・必要書類のファックス

・打ち合わせが終わり。登記手続の内容が固まったら、登記費用の見積書、立会当日の必要書類の案内文書を作成し、仲介業者にファックスなどで準備の依頼をする。

見積りはそれ以前に求められることもある。

書類作成、担保設定書類の受領

・立会当日に署名・捺印してもらう登記原因証明情報、委任状などの書面の作成、登記申請書の準備をする。

・登記費用も当日預かるので、その請求書・領収書も準備する。

立会当日

事前謄本、登記識別情報未失効証明取得

・当日必ず、対象不動産の登記情報を取得し、変動の有無を確認・

・立会で受領すべき登記識別情報がある場合、未失効証明を取得しておく

立会開始

開始30分前には到着するようにする。

当事者がそろったら、名刺交換をして立会を開始する。

本人確認

・事前に依頼していた免許証等の本人確認書類の原本を確認し、コピーを受領。

必要書類の確認

・事前に依頼していた必要書類を、当事者ごとに確認し受領

・印鑑証明書、資格証明書の有効期限に注意する。

意思確認・署名捺印

・必要書類が揃ったら、登記原因証明情報、委任状等に署名・捺印をもらう。

・内容の説明時に、意思確認・物件確認を行う。

・委任状への捺印を預かった印鑑証明書で印影を照合し、不鮮明な場合押し直してもらう。

決済宣言

・再度すべての書類を点検し確認したら「登記の必要書類はすべて整いましたので、資金の実行をお願いします」と決済宣言をする。

・売主または売主の債権者の口座への着金確認に時間がかかる場合がある。

・その間に売主・買主に権利証等の完了後の書類の受渡し方法、返却方法を確認する。

立会いの終了

・売主債権者までの着金の確認ができたら終了。

・この時点で登記費用の精算を行う。

・抵当権抹消書類の受領が必要な場合、売主とともに(または委任状をもらって司法書士のみで)抹消金融機関に出向く。

登記申請

・登記申請は当日行う。

・金融機関は受領証を求めるので、登記申請後、受領証番号などを通知する。

登記完了後の処理

・登記事項証明書を取得し、申立どおりの登記がなされているか確認

・登記識別情報や返却された書類を当事者に受け渡し