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類似業比準方式

類似業比準方式とは

非上場会社(評価会社)の株式の価格を決定するために、類似した業種の上場会社の株式の価格を参考にして、対象となる非上場会社の1株あたりの株式の評価をする方法である。

非上場会社の株式を相続により取得した相続人が相続税を支払うに際して、その価格を決める上などで利用する。

 

しかし、類似上場会社の株式が一株5000円であるから、評価会社の株式も一株5000円と評価することはできず、一般に非上場会社の株式は、上場会社の株式より低いものと考えられている。

 

上場会社の株価を参考に、種々の要素を適切に評価して価格を決定しなければならない。

 

評価要素(株価、利益、配当、純資産)

評価要素には「株価」「配当」「利益」「純資産」の4つがある

上場会社の相続開始時の「株価」を参考に、「配当」「利益」「純資産」を比較検討することにより、非上場会社の株式の時価を求めようとするものだと考えたらわかりやすいかもしれない。

時価に評価会社の規模に応じた適切な調整率(70%、60%、50%など)をかけて、時価を求める。

 

計算式は次のようになる

 

上場会社の株価×配当、利益、純資産を考慮した割合(比準割合)×調整率

 

要素① 類似業種の各要素

「株価」「配当」「利益」「純資産」の各要素は国税庁が毎月公表している数字を利用するが、株価については次の内、最も低い価格を採用しても良い。

①課税時期の属する月の類似業種の株価

課税時期の属する前月の類似業種の株価

課税時期の属する前々月の類似業種の株価

④類似業種の前年平均株価

 

なお「類似業種」の判定には国税庁が公表している「日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額計算上の業種目との対比表」を利用する。

 

要素② 評価会社の配当金額

使用する発行済株式総数は資本金等の額を50円で除した株式総数として使用する。

国税庁の公表している類似業種の各要素の価額が1株50円として公表されているため、整合性を図るためである。

 

1.配当金額について

評価会社の1株(50円)あたりの配当金額は次で求める

 

直前期末以前2年間の配当金額÷直前期末における発行済株式数(1株あたりの資本金を50円として計算)

*無配の場合は0円とする

 

2.利益金額について

評価会社の1株(50円)あたりの利益金額は次で求める

 

直前期末以前1年間の利益金額÷直前期末における発行済株式数(1株あたりの資本金を50円として計算)

 

*尚この利益は企業会計上の利益ではなく、法人税法上の課税所得金額をもとに計算した利益である

 

3.純資産価格について

評価会社の1株(50円)あたりの純資産価格は次で求める

 

直前期末の資本金等の額及び利益積立金額の合計額÷直前期末における発行済株式数(1株あたりの資本金を50円として計算)

 

最終計算

比準割合の計算

A 自社1株あたりの配当金額÷類似業種の1株あたりの配当金額

B 自社1株あたりの利益金額÷類似業種の1株あたりの利益金額

C 自社1株あたりの純資産金額÷類似業種の1株あたりの純資産金額

 

比準割合=(A+B×3+C)÷5

 

評価会社の1株あたりの価格=上場会社の株価×配当、利益、純資産を考慮した割合(比準割合)×調整率

 

上記の計算は1株あたりの価格を50円と計算しているため、次のように換算して最終的な価格を求める

 

評価会社の1株あたりの価格×1株あたりの資本金の額÷50円