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貸倒引当金

貸倒引当金とは

売掛金や貸付金などの債権が回収不能になる場合に備えて、各期の利益から債権の額に応じて積み立てておく金額のこと。

個別貸倒引当金と一般貸倒引当金の2種類がある。

税法上損金として計上する貸倒引当金繰入には個別評価金銭債権と一括評価金銭債権の2種類がある。

 

なお貸倒引当金が回収不能リスクを評価するものに対して、貸倒損失とは回収不能が確定したものをいい、売掛債権で一年以上取引がない債権は、債権額から備忘価格(1円)を引いた額を貸倒損失として計上できる

 

貸倒引当金戻入

貸倒引当金は回収不能リスクに備えるものだが、引当金が残っている場合、収入として所得に計上することになる。

その計算法には、洗替法と差額補充法の2種類がある。

 

(1)洗替法

前年度の貸倒引当金繰入額を貸倒引当金戻入として収入に計上し、今年度の引当金繰入を経費として計上する方法

 

(2)差額補充法

前年度の繰入額と今年度の繰入額を比較し、その差額を今年度の繰入額として経費に計上する方法

 

貸倒引当金繰入

1 個別評価金銭債権

回収困難とみなされる債権を「個別評価金銭債権」と評価する

債務者が民事再生法の規定による再生手続を申し立てた場合や、再生・更生手続の決定があった場合または債務超過の状態が長期化し好転の見込みが無い場合などに「個別評価金銭債権」として評価する

 

引当金の計算方法

(1)再生手続、更生手続の申立てがあった時など

貸倒引当金=債権額-担保価値×50%

 

(2)再生計画、更生計画の認可決定があった時など

貸倒引当金=債権額-5年以内に返済される見込み金額-担保価値

 

(3)債務超過、経営不振による取立見込みが無い場合

貸倒引当金=債権額-担保価値

 

2一括評価金銭債権

個別評価金銭債権以外の債権をいう

貸倒引当金=債権額×繰入率で計算するが、繰入率には法定繰入率と貸倒実績率があり、いずれか高い方を採用する

 

貸倒実績率={(①+②-③-④)×(12÷各事業年度の合計月数)}÷⑤

①3年分の貸倒損失の合計

②3年分の個別評価金銭債権分の引当金繰入額

3年分の個別評価金銭債権分の引当金戻入額

④適格組織再編成による引継ぎを受けた貸倒引当金額

3年分の一括評価金銭債権額の合計額÷事業年度数(通常3年)

 

法定繰入率

卸売業・小売業・飲食業・・・1%

製造業        ・・・0.8%

割賦販売小売業    ・・・1.3%

金融業・保険業    ・・・0.3%

その他(サービス業等)・・・0.6%

 

一般評価金銭債権の種類

①売掛金、買付金、それらに係る受取手形

②譲渡代金や請負料、地代家賃のうち益金とした未回収金

③他人のために支払った立替金

④益金としたが、受け取っていない損害賠償金

⑤保証人として弁済した求償債権

➅先日付小切手

⑦延払基準を税務処理として採用した場合の割賦未収金等