分離課税とは
所得税は、原則として全ての所得を合計して累進課税を適用する「総合課税」制度を採っている。
しかし、課税の公平の見地から、一定の性質を持つ所得については、総合課税とは別の税率で計算する分離課税制度が採られている。
分離課税制度には申告分離課税と源泉分離課税の2種類がある
申告分離課税
(1)確定申告の段階で他の所得とは合算せず、分離して課税される制度をいう
(2)対象となる所得
1.山林所得
2.退職所得
3.土地建物等の譲渡所得(長期・短期)
4.株式等の譲渡所得、商品先物取引の所得
5.上場株式の譲渡所得、商品先物取引の所得
6.上場株式等の配当所得
7.特定公社債の利子所得、公募公社債投資信託の収益の分配所得
(3)税率
1.山林所得
5分5乗方式により課税する
山林所得=総収入-必要経費-特別控除額(最大50万円)
税額=(課税山林所得金額×5分の1×税率)×5
2.退職所得
退職所得=(収入金額-控除額)×2分の1
控除額は以下の通り
20年以下の場合 40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超の場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
3.土地建物等の譲渡所得(5年超の所有で長期所有)
譲渡所得の金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
税率 長期所有 所得税15%(住民税5%) 短期所有 所得税30%(住民税9%)
特別控除額は以下のとおり
収容等により土地・建物を譲渡した場合 |
最高5,000万円 |
居住の用に供している家屋やその家屋と共にその敷地を譲渡した場合 |
最高3,000万円 |
特定土地区画整理事業等のために土地を譲渡した場合 |
最高2,000万円 |
特定住宅造成事業等のために土地を譲渡した場合 |
最高1,500万円 |
農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 |
最高800万円 |
4.株式等の譲渡所得
上場株式、非上場株式ともに税率は同じ
所得税 15% 住民税 5%
源泉分離課税
(1)源泉分離課税とは、源泉徴収により課税関係を完結させ確定申告を必要としない制度をいう
(2)対象となる所得
1.利子所得に該当する利子等(総合課税または申告分離課税の対象となるものを除く)
2.私募の特定目的信託のうち、社債的受益権の収益の分配に係る配当
3.私募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る配当
4.懸賞金付預貯金等の懸賞金等
5.次の金融類似商品の補てん金等
ア 定期積立の給付補てん金
イ 一定の契約により支払われる抵当証券の利息
ウ 銀行法第2条第4項の契約に基づく給付補てん金
エ 貴金属などの売戻し条件付き売買の利益
オ 外貨建預貯金で、その元本と利息をあらかじめ定められた利率により円または他の外国通貨に換算して支払うこととされている一定の換算差益
カ 一時払養老保険や一時払損害保険などの差益(期間5年以下のもの)
6.一定の割引債の償還差益
(3)税率
1.上記1から5までは収入金額等の20.315%(所得税15.315%、地方税5%)
2.上記6は償還差益の18.375%(特定の物は16.336%)