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みなし贈与財産

生命保険金等

生命保険金等を被相続人の死亡により取得した場合、保険料を被相続人以外が一部または全部を負担していたときには、その全部または一部につき相続ではなく贈与とみなされて贈与税が課される。

また死亡ではなく、満期により保険金等を受取る場合にも贈与とみなされて贈与税がかかる。

 

(1)被相続人の死亡により生命保険金を受け取ったが、保険料の一部を生存者が支払っていた場合

被相続人以外の者の保険料負担割合に応じて、生命保険金について贈与とみなされる

 

(2)生命保険金を満期により受け取った場合

保険料負担割合に応じて、負担者からの贈与とみなされる

 

(3)生命保険金と払込剰余金を被相続人の死亡により受け取った場合

被相続人以外の者の保険料負担割合に応じて、生命保険金及び払込剰余金が贈与とみなされる

 

定期金

個人年金の取得や保証期間付の生命保険契約を相続した場合など、定期金を取得することになった者は、保険料や払込金を負担したものから贈与があったとみなされる。(ただし、被相続人から保証期間付生命保険金の受給権を取得した場合、被相続人の保険料負担割合分はみなし相続財産となる)

 

低額譲受益、債務免除による利益

1.債務免除等による利益に対する課税

対価を支払わずまたは著しく低い価格の対価で、債務の免除、引受け又は第三者のためにする債務の弁済による利益を受けた場合、その利益を受けたものは、利益を受けた額につき、贈与があったとみなされる。

 

2.課税されない場合

a低額譲受、債務の引受け、弁済の場合(①、②両方を満たす時)

①債務者が資力を喪失しており、債務を弁済するのが困難な場合にその額(債務超過額など)

②扶養義務者からの譲渡または扶養義務者による債務引受または弁済の場合

*父などの扶養義務者が借金の肩代わりをした場合などに、債務超過額分は非課税になる

b債務の免除の場合

①債務者が資力を喪失し債務の弁済が困難な場合にその額(債務超過額など)

②債務の免除を受けた時

 

相当の地代

(1)相当な地代の判定

①権利金等なし

地代の年額<設定3年前の自用地の評価額×6%

 

②権利金等あり

地代の年額<設定3年前の自用地の評価額-権利金の額×(設定3年前の自用地の評価額÷設定時の土地価格)

 

(2)課税対象者

宅地の借地権者

 

(3)贈与者

宅地の所有者

 

(4)課税金額

①権利金等なし

設定時の価格×{借地権割合×{1-(実際の地代額-通常の地代額)÷(相当の地代額-通常の地代額)}}

 

②権利金等あり

設定時の価格×{借地権割合×{1-(実際の地代額-通常の地代額)÷(相当の地代額-通常の地代額)}}-権利金

 

*相当の地代年額=設定3年前の価格の平均額×6%

 

使用貸借

借地権の目的となっている土地をその借地権者以外の者が取得し地代の授受が行われなくなった場合

①原則

借地権から土地の取得者に借地家の贈与があったものとする

(土地価格×借地権割合)

②例外

借地権者の地位に変更がない旨の申出書の提出があった場合は贈与税がかからない

 

その他の利益の享受

(1)贈与とみなされない場合

婚姻の取消し又は離婚による財産の分与により取得した財産は、贈与により取得した財産とはみなされない

 

(2)贈与とみなされる場合

①不動産、株式等の名義の変更が行われ、対価の授受がない場合には、贈与とみなされる

②無利子により金銭の貸与等がされた時は、利子相当額を贈与とみなされる

③負担付贈与があった場合、贈与を受けたものは負担額を控除した額、利益を受けた第三者は負担額が贈与を受けたものとみなされる