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特定事業用資産の特例

概要

(1)特定事業用資産に当たる株式等(特定同族会社の株式)とは

①非上場の株式又は出資の合計額の中の10億円以下の部分を言う。(ただし、発行済株式の3分の2が限度額)

②相続開始前および開始後に被相続人およびその親族が持つ株式や出資額が、発行済株式数または総出資額の2分の1以上であること。

③発行済株式の総額が20億円以下であること

 

(2)特定同族株式相続人とは

①被相続人の親族であること

②相続税の申告時に、特定同族会社の役員であること

③発行済株式の5%以上の所有(議決権制限株式を除く)

 

(3)特定森林施行計画対象山林と相続人

①市区町村長の認定を受けた森林施行計画が定められた区域内にある立木又は土地等をいう

②被相続人の親族等で相続税申請時に森林施行計画に基づき施行していること

 

(3)特例

株式、出資、山林等の「特定事業用資産」を相続、遺贈又は相続時精算課税により贈与を受けていた場合、特例の適用を選択した資産について、相続税の課税評価計算において減額される。

 

特例による減額

(1)株式等

株式発行総額または総出資額の「3分の2」または「10億円」のいずれか低い価格までを限度として、10%の課税価格の減額が認められる。

 

*事例

被相続人Xの死亡により長男Aが遺贈によりX社株式2万株を取得したとする。

X社の総発行株式数は21万株である

これによりX社の株主は、長男A7万株、二男B5万6千株、友人C8万4千株となった。

一株あたりの相続税評価額は820円

長男AはX社の役員に就任している。

①同族会社の判定

長男A7万株+二男B5万6千株)÷21万株=60%であり過半数を超えているから同族会社である

②発行済株式総額20億円以下であること

820円×21万株=1億7200万円

③発行済株式数の5%以上の所有

長男A7万株÷21万株=33.33・・%

④Aは親族であり、役員に就任している

以上①から④までの条件を満たしており、特定事業用資産に該当する

 

減少可能価格の計算

①発行済株式の3分の2の価格

21万株×2/3×820円=1億1480万円≦10億円

したがって最大減少額は1億1480万円までである

②相続株式の価格

2万株×820円=1640万円≦1億1480万円

従って、相続株式額1640万円全額が減額特例の対象となる

減少額=1640万×10%=164万円となる。

 

(2)山林等

特定計画山林相続人等は5%の相続税の課税価格の減額が認められる。

 

(3)選択

①特定同族株式を特定事業財産として相続税の課税計算の特例の適用を選択した場合には、特定森林施業計画対象山林について、特定事業用資産としての選択は認められなくなる。

②少規模宅地等の課税計算における特例を選択した場合には、特定事業用財産の課税計算の特例の選択はできなくなる。