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マンションに関する法律

マンション法

・一般に(俗に?)以下の4法をマンション法と呼ぶことがあります

①「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)

・区分所有建物の権利関係を規定した基本法といえる

 

②「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(マンション管理適正化法)

・マンション管理の実態に照らして、マンション管理士の国家資格制定、マンション管理業者の登録制の創設、管理業務主任者制度の創設などを整備した

 

③「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(再建特別措置法)

・大規模な災害などにより、建物が全壊した場合の、建物の建替えの場合にも、区分所有法の定める一部損壊の時に準じて

区分所有者の特別多数による議決による再建を可能にした

 

④「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」(マンション建替え円滑化法)

・大災害などによりマンションが全壊し、その後建替え決議がなされたとしても、抵当権者、賃借人の存在など、再建に向けて権利関係の調整など区分所有法ではカバーできない問題を処理するために制定された

 

マンションの財産関係

・マンション(区分所有建物)の権利は以下の3つがある

 

①「専有部分」についての単独の所有権(区分所有権)

 

②「共有部分」についての共有持分権

・廊下または階段室、その他構造上区分所有者全員または一部の者の共用に供される部分である

・専有部分(例えばある一室)を規約により共有部分にすることができる(規約共有部分)

・共用部分の保存行為は各自が自由に行えるが、変更行為のためには総会の4分の3以上の議決が必要(区分所有法18条1項)で、通常の管理行為(外壁の塗装工事等)は過半数の議決が必要です(区分所有法18条)

 

③「建物の敷地」についての権利(敷地利用権)

・所有権(共有)であることが多いが、賃借権や地上権(准共有)の場合もある

・専有部分と敷地利用権は分離して処分できない(規約があれば可能)

 

マンションの管理

(1)区分所有者の団体

・区分所有建物には共用部分があるため、その管理のため、区分所有者は団体を構成し、集会を開き、規約を定め、管理者を置くことができるとされている(区分所有法3条)

・「区分所有者の団体」は4分の3以上の議決により法人となることができ、「管理組合法人」という。

・法人ではない場合は管理者(理事長など)が区分所有者を代理する

 

(2)管理者

・集会の決議により専任された管理者は、共有部分の保存、決議の実行、規約で定めた行為を行う権利を持ち、第三者に対する不法行為責任の追求等を行う代理権を持つ(区分所有法25条、26条)

・一般的には、複数の理事を選任し、理事会を構成し、理事長を規約により管理者とする場合が多い

・具体的な管理行為を外部の管理業者に委任している場合も多く、これを規律する法律が「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(マンション管理適正化法)である

 

(3)規約

・規約の設定、変更、廃止には区分所有者および議決権の各4分の3以上の決議が必要である

 

(4)集会

・集会は管理者(理事長)が招集し、決議は特別の定めがない場合、区分所有者及び議決権の各過半数による(区分所有法39条1項)

・原則として、専有部分の面積により議決権数が決まりますが、規約により一人一議決権としている場合が多い

・書面や電子的方法による決議も認められた(区分所有法39条、45条等)

 

(5)義務違反者に対する措置

・区分建物の保存や使用に有害な行為が行われた場合、行為の停止、除去、予防措置を決議により請求できる(区分所有法57条1項)

・また上記の請求が奏功しない場合、4分の3以上の議決により、使用禁止や、区分所有権及び敷地利用権の競売を請求できる(区分所有法58条、59条等)

 

復旧及び建替え(区分所有法による)

・建物が全壊した場合には、土地の共有関係が残るだけで、区分所有法が適用されず、民法の規定が適用されるため、共有土地上に建物を再建するには、土地共有者全員の同意が必要でした。

・このような問題を解決するために、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(再建特別措置法)は、政令で定めた大規模災害の場合に限り、区分所有者の多数決による再建を可能としました。

・通常の区分所有法上の、復旧及び建替えの要件は、一部滅失または老朽化の場合など、建物が存在していることを前提にしている。

 

(1)復旧

・災害等による建物の滅失が、建物価格の2分の1以下の場合(小規模一部滅失)には、集会の普通決議(過半数)によって決定され、反対したものも決議に拘束され、費用を負担します

・滅失が、建物価格の2分の1以上8大規模一部滅失)の場合には、特別決議(4分の3以上)が必要になる上、決議に反対したものは、自分の区分所有権・共有権・敷地利用権を議決に賛成したものに時価で売り渡し、区分所有権関係から離脱することで、費用の負担から逃れることができる(買取請求権 区分所有法61条等)

 

(2)建替え

・集会における、区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数によって、建替えができる(区分所有法62条)

・建替えに反対したものに対して、賛成したものは、区分所有権・共有権・土地利用権の売渡請求ができる。

・決議後の手続きについてはマンション建替え円滑化法が制定され(2002年)ている。

 

団地の法律関係

(1)団地とは

・一つの敷地内に、複数のマンションが存在することをいう

・団地内の共有物を管理するために、共有者全員で団地管理組合が形成される(区分所有法65条)

 

(2)団地内の建物の建替え

①各棟ごとの建替え

・一つの建物の区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数による議決に加え、他の建物に対する影響に鑑み、団地管理組合での4分の3以上の多数による議決などが必要になります(区分所有法69条等)

 

②一括建替え

・団地管理組合での5分の4以上の多数による決議に加え、各建物ごとの区分所有者の集会において3分の2以上の多数による決議が必要となる(区分所有法70条等)