判決と和解の中間的な解決方法
1 裁定和解(民事訴訟法第265条)
・当事者双方が、裁判所の提示する和解条項に服する旨を記載して、裁判所に和解条項を定めることを求める。(事前の承服が必要)
・異議を申し立てることができないため(控訴もできない)、事前に承服できる和解条項の範囲を書面にして提出しておくと良い。
・判決(裁判所の判断)と和解(当事者の互譲による解決)の中間的な解決方法である。
2 17条決定(民事調停法第17条)
・民事調停手続きにおいて、調停が成立する見込みがなく、相当と認められるときには、裁判所が職権で、当事者双方の利益を考慮して、決定を行うことができる。
・決定に対しては、2週間以内に異議を述べることができる。
・調停委員会の専門家の意見を聴いて、決定をするのが適している場合などに使われるが、調停員会を組織せず、簡易に事件を解決する場合にも17条決定がなされる時がある。
・民事訴訟の進行中に、裁判官が職権で事件を調停に付すことができ(付調停 民事調停法20条)、17条決定により事件を解決することがある。
3 経験した事例
抵当権設定登記抹消登記手続きを求める民事訴訟の代理人となったのですが、被告が5人(全員親族)で、裁判に出席したのは1人でした。他の4人は裁判所に事前にその1人に任せる旨の書面を提出していました。
被告は答弁書には、争う旨の記載をしていたものの、裁判では、こちらの主張を認める旨の陳述をしました。
そこで即日解決してもらいたいと思っていたわけですが、裁判所がとった手続きは、付調停とし、17条決定をするというものでした。
じつは私は、裁判上の和解を考えていたのですが、被告は5人ですので、出席した一人とは和解はできないということなのでしょうね。
出席していない4人は出席者に任せる旨の書面は提出していたわけですが、和解の委任としては不十分なのかなと思いました。
そこで調停に付し(付調停)、調停委員会を組織せず、17条決定により解決という方法を採ったわけです。
17条決定を原告・被告全員に送付し、2週間以内に異議ななければ確定するわけですが、この手続ならば、全員が出席していなくても手続きは保証されているということになるのでしょうね。
実は裁判所では、裁判官が「即決和解という手続きがある」と言っていて、私も即決和解により解決するのだなと思っていたのですが、裁判所から届いた書類には、17条決定がなされた旨が書かれていました。
実際、訴訟上の和解はできないのに、即決和解ならできるというのがよくわからなったのが正直なところでした。
裁判官も正直、間違ったことを言ってしまったんではないでしょうか。