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休眠抵当権者である産業組合の清算人の選任について

産業組合が抵当権者の場合

1 産業組合とは

・産業組合とは、明治33年9月1日に施行され昭和23年10月1日に廃止された産業組合法に基づいて設立された法人

・産業組合には目的により(1)信用組合(2)販売組合(3)購買組合(4)利用組合(生産組合)の4種類があった

・組織形態としては①無限責任②有限責任③保証責任の3種類があった

 

2 産業組合法の廃止

・産業組合法は、昭和23年10月1日に消費生活協同組合法の施行により廃止された

・消費生活協同組合法施行から2年後に産業組合はすべて解散すると定められていたため、現在は全ての産業組合は解散していることになる

・産業組合は休眠担保権の抹消の当事者としては、清算中の会社として存在していることになる

 

3 抵当権抹消手続き

・産業組合を代表していたものが清算人となるが、現在生きている可能性はない

・都道府県知事に清算人の選任の申立をし、選任された清算人と共同で抹消をする(産業組合法第73条ノ2)

・例外として、産業組合が農業団体法第88条により解散を命じられていた場合、権利義務は地方農業組合が承継することになっていた。

しかし、地方農業会も「農業協同組合法の制定に伴う農業団体の整理等に関する法律」(昭和22年法律第133号)により昭和22年8月15日法定解散している。

したがって、地方農業会の清算人の選任申立は地方裁判所に対して行い、選任された清算人と共同で抹消登記を行う

 

負債整理組合が抵当権者の場合

1 負債整理組合とは

・戦前に成立した、農村負債整理組合法(昭和8年法律第21号)は現在も廃止されていない

・組合員が7人未満で解散原因(農村負債整理組合法第24条第1項が準用する産業組合法第62条第1項第4号)

 

2 抵当権抹消手続き

・負債整理組合は形式的には未だ解散していないものも多いため、仮理事の選任手続が適用される可能性がある(農村負債整理組合法第24条第1項が準用する産業組合法第60条ノ2)

・解散している場合、地方裁判所に清算人の選任申立を行い、選任された清算人と共同で抹消登記を行う