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税の基礎知識

税の分類と資産税

1 税の分類

 

直接税

納税義務者=税の負担者

間接税等

納税義務者≠税の負担者他左記以外

 国税

(税の納付先が国)

 所得税・法人税

相続税・贈与税 など

消費税

たばこ税

登録免許税・印紙税 など

地方税

(税の納付先が地方公共団体)

都道府県税(個人・法人)

市町村民税(個人・法人)

事業税(個人・法人)

不動産所得税(道府県)

固定資産税(市町村)など

ゴルフ場利用税(道府県)

入湯税(市町村) など

2 資産税

・資産税という「税目」はない

・資産(主に土地・建物、有価証券等)にかかわる税目の総称を資産税という

・所得税のうち土地・建物等にかかわる部分(譲渡所得税)、相続税、贈与税、登録免許税、印紙税、不動産取得税、固定資産税など

 

3 資産税の特徴

(1)社会経済の変化に対応して改正が非常に多い(政策的)

・常に知識の更新と確認が必要

(2)税務処理の金額が大きい

・税のインパクトが大きく事前対策業務が生じる

(3)一過性の仕事のため事後修正等がしにくい

・職業損害賠償責任保険

(4)他業種の先生との関連が深い

・土地家屋調査士 ・税理士 ・弁護士 ・公認会計士

 

国税

1 個人の譲渡所得税

(1)個人の所得税と法人税の課税体型

①個人の所得税

Ⅰ総合課税

ア 利子所得・配当所得

イ 不動産所得・事業所得

ウ 給与所得

エ 譲渡所得

オ 一時所得

カ 雑所得

Ⅱ分離課税

ア 山林所得・退職所得

イ 土地・建物等譲渡所得

ウ 株式等の譲渡所得

 

②法人税

・全ての所得(各種所得の区別なし)

 

(2)土地建物等の譲渡所得の課税

①課税譲渡所得

・譲渡代金-取得費-特別控除額=課税譲渡所得

*建物の取得費については減価償却した後の価格

*取得原価がわからない場合は譲渡代金の5%で計算しても良い

 

②特別控除額(個人)

土地収用法などで国や地方公共団体に土地や建物が買い取られた場合 5,000万円
 居住している家屋やその敷地などを譲渡した場合  3,000万円
国や地方公共団体などが行う特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合 2,000万円
地方公共団体、都市基盤整備公団んどが行う特定住宅地造成事業のために土地を譲渡した場合 1,500万円
農業保有合理化等のために農地等を譲渡した場合 800万円

③3,000万円の特別控除

・居住用の家屋又は家屋と敷地を売却した場合

・期間は限定されていないが、居住用であった旨の証明必要

・親族への譲渡には適用できない

・居住用財産の買換特例やローン控除は適用できない

・居住しなくなってから3年を経過する年の12月31日までに譲渡したもの

 

(3)税率

・居住期間が5年以内であるか5年を超えるかで長期、短期に区分され税率が異なる

*5年の計算は取得日~譲渡日の年の1月1日までで計算する

 

(4)損益通算の原則

・譲渡損が生じた場合、分離短期・長期、総合短期・長期内における他の資産と通算し(譲渡所得内通算)、それでも控除できない損失は、他の所得と損益通算する

・平成16年から、居住用財産の譲渡損失を除いて、土地建物等の譲渡損益はそれ以外の所得との損益通算および翌年以降の繰越が認められなくなった

 

2 住宅借入金等の特別控除

(1)特例の種類

 

①住宅ローンがある場合

ア 一般の住宅ローン控除

・家屋の新築

・中古住宅の購入

・増改築

イ 特定増改築等の住宅ローン控除

・バリアフリー改修工事

・省エネ改修工事

・多世帯同居改修工事

ウ 認定長期優良及び低炭素住宅の住宅ローン控除の特例

 

②住宅ローンの有無を問わない場合

ア 住宅耐震改修特別控除

イ 住宅特定改修特別税額控除

・バリアフリー改修工事

・省エネ改修工事

・多世帯同居改修工事

ウ 認定長期優良及び低炭素住宅新築等特別税額控除

 

(2)一般の住宅ローン控除

①適用対象者

・取得後6ヶ月以内に入居し、年末まで居住していて、所得が3,000万円以下の者

②控除額

・1年目から10年目まで、借入金の1.0%を毎年控除できる

③対象となる新築家屋等の条件

・床面積が50㎡以上

・半分以上が居住用など

④対象借入金

・返還期間が10年以上

・金融機関、住宅金融公庫、地方公共団体等からの借入金で利率が0.2%以上など

⑤適用不可

・居住用財産の3,000万円控除や買換・交換特例等を受けている場合

(二重取りは駄目ということ)

 

贈与税

(1)暦年課税の原則

 

・税額計算

(年間受贈額-基礎控除(110万円))×速算表の税額-速算表の控除額=贈与税額

 

・基礎控除とは別に、配偶者への贈与には配偶者控除がある(最大2,000万円)

 

(2)相続時精算課税制度・住宅取得等資金の贈与非課税

 

Ⅰ相続時精算非課税制度

①一般

・特別控除額が2,500万円

・相続財産と累積贈与額を合算し、2,500万円を控除した額に相続税がかかる

②住宅取得等資金の特例

・住宅等の取得または増改築等の金銭の贈与

・相続財産と贈与額を合算し、2、500万円を控除した額に相続税がかかる

 

Ⅱ住宅取得等資金の贈与の非課税特例

・各年度500万円~1,200万円が適用できる

・控除できない部分は暦年課税か相続時精算課税を行う

・非課税枠(500万~1,200万)+(基礎控除110万円または相続時精算課税2,500万円)

 

(3)教育資金の一括贈与非課税措置(平成25年新設)と結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置(平成27年新設)

 

①基本

・生活費、教育費の必要な都度の贈与はもともと非課税であった

 

②一括贈与

・その都度の贈与ではなく、教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与にも非課税枠が新設された

 

相続税

1 相続税の計算手順

・本来の取得財産-非課税財産(*)-受継債務-葬式費用+相続開始前3年以内の贈与財産・相続時精算課税制度選択財産

=正味遺産額

*一定の生保・退職金・墓所・霊廟・祭具等

正味遺産額-基礎控除額=課税遺産総額

 

課税遺産総額×税率=相続税額

 

2 遺産にかかる基礎控除

・基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

・法定相続人の数には相続放棄したものの数も入れる

 

3 税率

(1)10%から50%までの累進課税が原則

(2)配偶者に対する相続税額の軽減

・配偶者の相続分が1億6,000万円以下ならば相続税はかからない

 

(3)小規模宅地特例

・被相続人の居住用宅地等を同居の親族や生計を同じくしていた親族が相続した場合に、最大80%の不動産評価の減額が可能となる制度

・土地の面積が330㎡以下などの条件がある

・二世帯住宅であっても適用が認められることがある(生計を別にしていた場合でもということ)

 

地方税

1 不動産取得税

(1)家屋を取得した場合の不動産取得税

・原則:固定資産税評価額×4%

・住宅:    〃   ×3%

・特例適用住宅の場合:(固定資産税評価額-控除額)×3%

 

*特例適用住宅の条件

①新築

・床面積が50㎡~240㎡

②中古住宅

・自己の居住用であること

・床面積が50㎡~240㎡

・20年以内の新築または昭和57年1月1日以後の登記簿上の建築日付であること(新耐震基準適合住宅も可)

 

(2)住宅用土地の税額の減額

①課税標準の減額

・課税標準は固定資産税評価額の2分の1とし、それに税率3%をかけて税額を計算する

 

②軽減措置

・以下のいずれか多い額が税額から減額可能

ア 45,000円

イ 土地1㎡当たりの価格×住宅の床面積の2倍の面積(最大200㎡)×3%

 

・したがって200㎡までの住宅用土地であれば原則不動産取得税は不要となる

*評価額×1/2×3%-評価額×1/2÷200㎡×200㎡(最大)×3%

 

2 固定資産税・都市計画税

(1)概要

・土地・建物の固定資産評価額の1.4%が固定資産税

・        〃     0.3%が都市計画税(都市計画区域内で、市街化区域内)

 

(2)新築住宅に係る固定資産税の減額措置

①住宅用地の評価額の特例

・200㎡以下の部分は6分の1(固定資産税)、3分の1(都市計画税)

・200㎡超部分は3分の1(固定資産税)

・200㎡を超える場合には3分の2(都市計画税)

 

②新築住宅(床面積50㎡~280㎡)に対する固定資産税の減額措置(居住部分のみ)

・耐火・准耐火建築物は5年間は2分の1を減額

・それ以外は3年間は2分の1を減額