1.増資
①有償増資
・募集株式の発行、新株予約権の行使
②無償増資
・準備金の資本組入れ、剰余金の資本組入れ
2.減資
・資本金の額を減少させるが、実際には貸借対照表上の数値が変動するだけで、会社財産が減少するわけではない
(1)基本事項
・増資額
・決議日、出資の履行日、効力発生日
・新たに発行する株式数、又は処分する自己株式数
・会社の状況の確認(株主の持株数、機関、定款等)
・株式の引受申し込み予定者
・出資の履行内容(金銭、現物)
・他の変更手続は必要か(発行可能株式総数等、自己株式の償却等)
(2)募集株式発行の手続の確認
・第三者割当増資か、株主割当増資か
・通常の引受申込みか総数引受契約か
・現物出資がある場合の価額の確認
・増加する資本金の額の確認(全額か一部か)
(3)登記申請の準備及び申請
・株主総会議事録等の添付書面の作成及び確認
・出資の履行がなされたことの確認(通帳、財産引受書、DESの場合会計帳簿等、現物出資の場合の弁護士等の証明書)
(1)募集事項の決定の決議
①非公開会社
・株主総会の特別決議又は株主総会の特別決議による委任
②公開会社
・取締役会の決議、ただし有利発行の場合は株主総会の特別決議
*種類株式発行会社では種類株主総会の特別決議も必要
(2)決定する募集事項の内容
①募集株式の数
②募集株式の払込金額又はその算定方法
③現物出資財産の内容及び価額
④払込の期日または期間
⑤増加する資本金及び資本準備金の額
(3)原則方式又は総数引受契約
①原則方式
Ⅰ 引受申込者への通知→Ⅱ申込通知→Ⅲ割当の決定→Ⅳ割当事項の通知
②総数引受契約
(4)公開会社における割当等の特則
・支配株主の異動が伴う場合、株主への情報開示が必要で、株主総会決議が必要となる場合がある
(1)募集事項の決定の決議
①非公開会社
Ⅰ 原則:株主総会の特別決議
Ⅱ 定款の定めによる委任規定がある場合:取締役の決定又は取締役会の決議
②公開会社
・取締役会の決議
(2)決定する募集事項の内容
① 第三者割当の場合の①~⑤まで同じ
② 株主に割当の権利を与える旨及び引受の申込期日
(3)割当を受ける株主に対する通知等
Ⅰ株主への通知→Ⅱ引受申込者への通知→Ⅲ申込通知
(1)現金出資の場合
①払込機関は会社法の規定する銀行等の金融機関
②払込期日前の払込も有効だが、募集事項の決議の前は無効
(2)現物出資の場合
①検査役の選任が原則
②検査役の選任が不要となる場合
Ⅰ 割当株式の総数が発行済株式総数の10分の1を超えない場合
Ⅱ 現物出資在差の価額が500万円を超えない場合
Ⅲ 市場価格のある有価証券の価額が法務省令に定める方法による価額を超えない場合
Ⅳ 現物出資財産の価額の相当性を弁護士、公認会計士、税理士等により証明を受けたとき
Ⅴ 会社に対する債権の価額が、帳簿価額を超えない場合
(1)会社法第445条
・払込又は出資した財産の価額の2分の1を超えない額は資本金として計上しないことができる
・資本金として計上しなかった額は資本準備金として計上しなければならない
(2)計算方法
資本金等増加限度額=[(①ー②)×③]ー④
①払込又は出資財産の価額
②募集株式の交付費用として定めた額(当分の間「ゼロ」)
③株式発行割合(処分する自己株式以外の株式の割合)
④自己株式処分差損
①変更後の「資本金の額」
②「発行済株総数数並びに種類及び数
①募集事項決定の議事録等
②株主リスト
③募集事項の引受の申込又は総数引受契約書
④別段の定めがある場合の定款
⑤払込を証する書面
Ⅰ 払込受入証明書(少ない)
Ⅱ 代表取締役の作成した払込を証する書面と預金通帳の写し等を合綴したもの
⑥現物出資した時の調査報告書等
⑦資本金の額の計上に関する書面
⑧委任状
⑨期間の延長又は短縮があった場合の株主全員の同意書等
・増加した資本金の1000分の7(その額が3万円未満の場合は3万円)
原則 | 欠損てん補の場合 | 株式の発行と同時 | |
要件 |
①定時株主総会における準備金の減少
②減少額が欠損の額を超えないこと |
①株式の発行と同時に準備金の額を減少する 場合
②減少の効力発生後の額が効力発生前の額を 下回らない場合 |
|
決議・決定機関
|
株主総会 普通決議 |
株主総会普通決議 |
取締役の決定 又は 取締役会の決議 |
債権者保護手続 | 原則:必要 | 不要 | 原則:必要 |
(1)要件、決議・決定機関、債権者保護手続きの要否
(2)決定・決議事項
①減少する準備金の額
②資本金に組入る額
③効力発生日
(3)債権者保護手続
(4)登記事項 変更後の「資本金の額」
(5)添付書面
①株主総会議事録等
②株主リスト
③準備金の額が計上されていたことを証する書面(代表者が作成)
④委任状
*債権者保護手続の書面は不要
*資本金の計上に関する書面も不要
(6)登録免許税
・増加した資本金の1000分の7(3万円未満の場合は3万円)
(1)決議
・株主総会の普通決議で足りる
(2)決議事項
①減少する剰余金の額
②効力発生日
(3)登記事項 変更後の「資本金の額」
(4)添付書面
①株主総会議事録等
②株主リスト
③剰余金の計上を証する書面(代表者が作成)
④委任状
(5)登録免許税
増加した資本金の1000分の7(3万円未満の場合は3万円)
(1)目的
①剰余金の配当を可能にするため
②節税のため
③損失の処理
(2)要件、決議・決定機関、債権者保護手続の要否
原則 | 欠損てん補の場合 | 株式の発行と同時 | |
要件 |
①定時株主総会における資本金 の額の減少
②減少額が欠損の額を超えない こと(欠損てん補) |
①株式の発行と同時に資本金 の額を減少する場合
②減少の効力発生後の資本金の 額が効力発生前の資本金の額 を下回らないこと |
|
決議・決定機関 |
株主総会 特別決議 |
株主総会普通決議 |
取締役の決定又は取締役 会の決議 |
債権者保護手続 | 常に必要 |
(3)決定・決議事項
①減少する資本金の額
②資本準備金とする額
③効力発生日
(4)債権者保護手続
①実務上は金融機関や重要な取引先に個別催告し、少額債権者等には催告しないことが多いが、万一意義があれば、弁済すれば良い
②官報公告及び各別の催告
・官報で公告し知れたる債権者に個別催告が原則
・官報公告と定款で定める日刊新聞又は電子公告により各別の催告は不要となる
③決算公告未了の場合の債権者保護
・債権者保護手続とあわせて「貸借対照表の要旨」を同時公告する
④異議があったとき
・弁済、担保提供等
(5)減資の効果
①減少した資本金はその他資本剰余金となる
②欠損填補、損失の処理
・欠損の額とは分配可能額がマイナスのこと
・損失とは利益剰余金のマイナスのこと
・損失の処理にはその他資本剰余金となったを減少させ利益剰余金を増加させる(株主総会決議)
(6)資本金の額を0円とする減資も可能
(7)効力発生日は取締役会決議(取締役の決定)により変更できる
(8)登記事項 変更後の「資本金の額」
(9)添付書面
①株主総会議事録等
②株主リスト
③債権者保護手続書面
・官報公告及び各別催告書
・異議がなかった旨の上申書
・意義があった場合の異議申立書及び弁済等を証する書面
④委任状
(10)登録免許税
・金3万円